求人が多いのに、なぜ書類で落ちるのか。東京の経理転職で最初にぶつかる疑問です。
答えは職業別の数字にあります。厚生労働省の一般職業紹介状況では、全国の有効求人倍率は1.17倍(2026年5月分・季節調整値)。ところが一般事務の職業は0.29倍(2026年4月分・パートを含む常用)と、求職者1人に求人が0.3件しかない世界です。会計事務系の倍率も0.6倍前後の水準で推移してきたとされ、事務系職種は総じて「応募する側の競争」になります。裏を返せば、書類と面接の質を上げた人から順に抜けていく市場だということです。経理は専門職なので一般事務ほど極端ではないものの、人気企業の1枠に応募が集中する構図は同じです。
つまり東京は、求人が最多の市場であると同時に、応募者も最多の市場だということ。ここで効く打ち手は2つです。1つは書類の具体化で、「経理を担当」ではなく「月次を5営業日で締め、連結子会社3社、決算短信の数値検証まで担当」と書けるかどうかで通過率が変わります。もう1つが非公開求人へのアクセスです。というのも、管理部門の採用は組織図や年収テーブルが透けるのを嫌って非公開で進める企業が多いからです。会計特化型のエージェントが持つ案件は、求人サイトの検索では出てきません。
では、東京の経理求人はいま実際に何件あるのでしょうか。2026年8月に各社サイトの公開表示を確認した時点で、管理部門特化のMS-Japanは東京都の経理・財務求人を1,991件+非公開求人、リクルートエージェントは東京都の経理/税務/財務の公開求人を889件以上と表示していました(いずれも閲覧時点の表示値)。ここから読み取れるのは、経理の求人が総合型より管理部門特化型に厚く集まる構造です。特化型1社の公開分だけで約2,000件、そこに非公開が乗るのが東京市場の実力で、総合型だけで探して「思ったより少ない」と感じた人は、探す場所がずれていただけかもしれません。
リモートワークの偏りも東京市場の特徴です。フルリモートやハイブリッド勤務を認める経理求人の雇用主は東京の企業に集中しており、地方在住のまま東京の求人に応募する動きが広がっています。東京在住者にとっては、通勤圏の外からもライバルが来る市場になったとも読めます。条件で並ばれたときに残るのは、実務範囲の証明。書類の具体性が、以前より重要になっています。
もう1つ、東京市場を読むうえで知っておきたいのが「求人の受理地」の話です。全国に事業所を持つ企業が、本社所在地の東京でまとめて求人を出すケースが多いため、東京の窓口には勤務地が地方の求人も集まります。労働政策研究・研修機構も、受理地ベースと就業地ベースで都道府県別の倍率が大きくずれることを解説しています。東京で経理を探すなら、勤務地の条件を市区レベルまで具体的に伝えないと、意図しない勤務地の紹介が混ざる。担当者への最初の伝え方で、紹介の精度は変えられます。