事務職の転職を考え始めた人に、最初に見てほしい数字があります。一般事務の有効求人倍率0.29倍。厚生労働省「一般職業紹介状況」の2026年4月分で、常用のうちパートタイムを除いた原数値です。求職者1人に求人0.29件、裏を返せば約3.4人で1件を取り合う計算になります。同じ月の全職業計は1.12倍でした。営業職2.18倍、ITエンジニアを含む情報処理・通信技術者1.47倍、介護サービス3.22倍と、隣の職種はどこも人手不足。その中で事務だけが「応募側が競争する」市場です。
しかも風向きは年々厳しくなっています。一般事務の有効求人は前年同月比8.2%減、新規求人は8.9%減と縮小が続く一方、求職者はほぼ横ばい(0.5%増)でした。背景には、定型的な入力・転記・集計がRPAや生成AIに置き換わり、企業が採用枠そのものを絞っている構造があります。求人が減っても、事務を希望する人は減らない。この非対称が0.29倍の正体です。
もう1つ、厳しい数字を出します。パートを含む一般事務の有効求職者は約42.6万人。これに対し、2026年4月にハローワーク経由で就職が決まったのは14,892件でした。割り算すると、月に決まるのは求職者の約3.5%です。
ちなみに、季節調整した全体の有効求人倍率は1.18倍、正社員に限っても0.99倍(いずれも2026年4月)でした。世の中全体はほぼ「1人に1件」の水準を保っているのに、一般事務だけが3分の1以下。転職市場の平均的な体感を事務に持ち込むと、想定より苦戦する理由がここにあります。
それでも、あきらめる話ではありません。というのも、同じ「事務」でも種類を変えるだけで倍率は0.21倍から2.98倍まで、10倍以上動くからです。下の表を見てください。戦い方は3つに集約されます。倍率の低い激戦区を避けて種類を選ぶ。書類を数字で差別化する。正社員直行以外の入口も並行して持つ。この3点を順に組み立てていきます。

