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ITエンジニアの年収相場|職種・レベル・経験年数別の違いと総報酬の見方

公開 2026-03-20更新 2026-06-19

この記事の要点

  • 1ITエンジニアが属する情報通信業の平均年収は約632万円(国税庁)で、全国平均約460万円を大きく上回ります。職種・レベル・企業によって幅が非常に大きいのが特徴です。
  • 2同じ「エンジニア」でも職種で水準が違います。一般に、ML/データ・SRE・モバイル・上流のPM/EMが高め、Web系の一般的な開発がそれに続く、という傾向があります。
  • 3年収はレベル(ジュニア→ミドル→シニア→スタッフ/リード)と等級で段階的に上がります。近年はマネジメントに進まなくても専門性で上がるIC(Individual Contributor)ラダーを設ける企業が増えました。
  • 4外資・メガベンチャー・SaaSは株式報酬(RSU・ストックオプション)の比重が大きく、額面年収だけでは実態を取り違えます。基本給+賞与+株式+手当の総報酬で比較するのが重要です。
  • 5年収を上げる軸は、市場価値の高いスキルへの集中、上流・専門特化、マネジメントへの移行、そして総報酬で見た転職です。自分の現在地を相場と照らして動くのが近道です。

監修・執筆者

平井 貴大

平井 貴大

BeyondLeap株式会社 代表取締役 / 元リクルート事業開発・マーケ / 元プライム上場企業子会社代表

リクルートで事業開発・マーケティング・海外駐在を経験後、東証プライム上場企業の子会社代表取締役に就任。人材関連サービスを複数ゼロから立ち上げ、全事業の黒字化とスケールを達成。「すべての人が輝ける世界へ」をミッションに掲げ、AIと人のハイブリッドで一人ひとりに最適なキャリア支援を届けるためBeyondLeapを創業。

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ITエンジニアの年収の全体像:平均より「幅の広さ」が特徴

ITエンジニアの年収は、全国平均より高い一方で、職種・レベル・企業による幅が非常に大きいのが特徴です。平均値だけ見ても、自分の相場はつかめません。

まず全体像を押さえます。ITエンジニアが多く属する情報通信業の平均年収は、国税庁「民間給与実態統計調査」で約632万円とされ、給与所得者全体の平均約460万円を大きく上回ります。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」で職種別に見ても、ソフトウェア関連職は平均より高めです。

ただ、エンジニアの世界で平均値はあまり役に立ちません。同じ「エンジニア」でも、未経験に近いジュニアと、技術で事業を引っ張るスタッフエンジニアでは、年収が数倍違うことも珍しくないからです。採用する側にいると、肩書きが同じでも提示できる金額がまったく違う、という場面に何度も出会います。

だからこの記事では、平均ではなく「職種・レベル・経験年数」という軸で分解していきます。自分がどの位置にいて、どこを動かせば上がるのかを、具体的に見ていきましょう。

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職種別の傾向:同じエンジニアでも水準が違う

エンジニアは職種で年収の傾向が分かれます。希少性が高く、事業インパクトの大きい領域ほど高めになりやすい、という見方が実態に近いです。

大づかみな傾向として、次のような順序になりやすいです(職種そのものより、担える範囲と専門性で個人差が大きい点は前提です)。

  1. 機械学習・データサイエンス/データ基盤。需要が伸びている一方で供給が追いつかず、高めになりやすい領域です。
  2. SRE/インフラ・クラウド。システムの信頼性を支える専門性が評価され、高水準の求人が多い。
  3. モバイル(iOS/Android)。専門性が明確で、できる人が相対的に少ないため高めになりやすい。
  4. プロダクトマネージャー(PM)/エンジニアリングマネージャー(EM)。上流・マネジメントを担う分、年収レンジが上に伸びます。
  5. バックエンド/フロントエンド。Web開発の中核で、人数も多く、レベルによる幅が大きい。

PROJECT COMPやOpenSalaryのような職種別の投稿データベースでも、職種ごとに年収中央値の差が可視化されています(各サービスの公開データ参照)。こうしたサービスは、自分の職種の相場観をつかむ材料になります。ただし数値はサンプル数や定義のばらつきがあるため、傾向の把握にとどめ、判断は公的統計と提示条件で行うのが安全です。職種別の最新データは、当サイトの職種別年収(/salary/jobs)でも確認できます。

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レベル・グレードと年収:IC(専門職)ラダーの広がり

エンジニアの年収は、レベル(等級)で段階的に上がります。近年はマネジメントに進まなくても、専門性で上がれる道が広がりました。

多くの企業で、エンジニアのレベルはおおむね次のように整理されています。

  1. ジュニア。指示のもとで実装を進める段階。
  2. ミドル。自走して機能開発を完結できる段階。
  3. シニア。設計や技術選定をリードし、難所を解ける段階。
  4. スタッフ/リード。チームや組織の技術的な意思決定に影響を与える段階。

このレベルが上がるたびに、給与テーブルの適用ランクが上がります。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和5年)でも、役職が上がるほど所定内給与は明確に高くなり、係長級・課長級・部長級と段階的に上がります。

ここで重要なのが、IC(Individual Contributor)ラダーの広がりです。かつては年収を上げるにはマネジメントに進むしかない会社が多かったのですが、いまは「部下を持たず、技術で価値を出し続ける専門職」の等級を、マネジメントと同等以上に設ける企業が増えました。マネジメントが向かない人でも、設計力・技術的リーダーシップで等級を上げて年収を伸ばせます。昇給を狙うなら、まず自社の等級定義と、次のグレードに求められる要件を正確に把握することが出発点です。

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経験年数別のカーブ:3〜10年目で差が開く

エンジニアの年収は経験年数とともに上がりますが、伸び方は人によって大きく分かれます。差が開くのは、おおむね経験3〜10年目です。

新卒〜3年目は、給与テーブルがある程度決まっており、差はつきにくい時期です。差が本格的に開き始めるのが、自走できるようになる3年目以降です。この期間に何を積むかで、その後のカーブが変わります。

伸ばし方の方向は、大きく次のとおりです。

  1. 専門性を深める。特定領域で「この人に任せれば安心」と言われる深さを作ると、市場価値が上がります。
  2. 担当範囲を広げる。設計・技術選定・他チーム連携まで担えると、等級を上げる材料になります。
  3. 技術リーダーシップを示す。コードレビューや設計レビューで周囲の生産性を上げる動きは、シニア以上で強く評価されます。
  4. マネジメントに進む。EMとしてチームを率いる道は、年収レンジを一段上げる選択肢です。

経験年数そのものより、「その年数で何ができるようになったか」が評価されます。同じ年次を重ねるだけでは、市場での評価は頭打ちになりやすい。経験年数と年収の関係は、経験年数別の年収カーブ(/content/nenshu/nenshu-keikennensu)でも詳しく解説しています。

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言語・スキル・資格による差をどう見るか

言語や資格そのものが年収を決めるわけではありません。市場が欲しがる領域のスキルを、実務の再現性とともに持っているかが効きます。

よくある誤解が、「この言語を覚えれば年収が上がる」という発想です。実際には、言語は手段で、年収を動かすのは「需要が高く供給の少ない領域を担えるか」です。クラウド・データ基盤・機械学習・セキュリティといった、需要が伸びていて人が足りない領域のスキルは、結果として高年収の求人に結びつきやすくなります。

資格の位置づけも整理しておきます。情報処理技術者試験の高度区分や、クラウドの認定資格は、スキルの裏付けや書類選考での通過率に効きます。ただし、資格は「実力の証明」として使うものであり、実務での再現性が伴わなければ年収には反映されません。

実務的な順番としては、まず市場で需要のある領域を選び、その領域で手を動かして再現性のある成果を作り、必要に応じて資格で裏付ける、という流れが効きます。資格コレクションが目的化すると、労力の割に年収に効きません。市場が何を欲しがっているかから逆算するのが、遠回りに見えて近道です。

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総報酬で見る:外資・メガベンチャーの株式報酬

エンジニアの年収は、額面だけで比べると実態を取り違えます。特に外資・メガベンチャー・SaaSは株式報酬の比重が大きく、総報酬で見る必要があります。

求人票の「想定年収」は、多くの場合あくまで基本給と賞与の額面です。ところが、外資系・メガベンチャー・SaaS企業では、RSU(譲渡制限付株式)やストックオプションといった株式報酬が、報酬の大きな部分を占めることがあります。額面だけで横並びにすると、株式報酬の厚い会社を不当に低く評価してしまいます。

株式報酬を見るコツは2つです。第一に、付与総額ではなく「権利が確定するまでの期間で割った、年あたりの目安」で考えること。第二に、確定しているもの(付与済みのRSU)と、将来の株価に賭けるもの(ストックオプション)を、同じ重みで足さないことです。

オファーを比べるときは、基本給・想定賞与・株式報酬(年あたり換算)・手当を1枚に並べ、それぞれの確実性に印を付けて総報酬で見ます。確実な現金と、条件付きの将来価値を区別するのがポイントです。詳しい比較の手順は、総報酬(トータルコンペンセーション)とは(/content/nenshu/nenshu-sougou-houshu)にまとめています。エンジニアこそ、この見方の差が年収判断に直結します。

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エンジニアが年収を上げる4つの軸

エンジニアの年収アップは、運ではなく設計です。次の4つの軸のうち、自分が動かせるところに働きかけます。

  1. 市場価値の高いスキルに集中する。需要が伸びている領域へ軸足を移すと、応募できる求人のレンジ自体が上がります。広く浅くより、欲しがられる領域での深さが効きます。
  2. 上流・専門特化に進む。設計・アーキテクチャ・技術選定を担えるようになると、シニア以上の等級に手が届きます。ICラダーがある会社なら、マネジメントに進まなくても上げられます。
  3. マネジメントを経験する。EMとして3〜5名規模からでもチームを率いた実績は、年収レンジを一段押し上げます。
  4. 総報酬で見て転職する。社内の昇給が頭打ちなら、市場価値に見合う環境へ移るのが上げ幅は大きい。額面だけでなく、基本給・賞与・株式・手当の総報酬で比較し、確実な部分と将来価値を分けて判断します。

ポイント

4つのどれを選ぶにしても、起点は「自分の現在地を相場と照らすこと」です。同じ職種・同じレベルの人がいくらもらっているかを把握すると、社内交渉でも転職でも、根拠を持って動けます。年収交渉の具体的な進め方は、年収交渉のやり方(/content/nenshu/nenshu-koushou)も参考にしてください。

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まとめ:平均ではなく「職種×レベル×総報酬」で自分の相場を測る

ITエンジニアの年収は、平均で語るには幅が広すぎます。職種・レベル・経験年数で分解し、総報酬で見て、はじめて自分の相場が測れます。

この記事の要点を振り返ります。情報通信業の平均は約632万円で全国平均を上回るものの、職種(ML/データ・SRE・モバイル・PM/EMが高め)とレベル(ジュニア→シニア→スタッフ)で水準は大きく違います。近年はICラダーの広がりで、マネジメント以外でも専門性で上げられるようになりました。経験3〜10年目が差の開く時期で、言語や資格は「市場が欲しがる実力の証明」として使うのが効きます。外資・メガベンチャーは株式報酬の比重が大きく、総報酬で比較しないと判断を誤ります。

採用する側から見ると、自分の市場価値を職種とレベルで正確に語れるエンジニアは、それだけで交渉が有利です。逆に「平均はこのくらいですよね」という話し方では、相場の真ん中にしか着地しません。

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