「転職エージェントに頼めば年収アップできる」。この期待は半分正しく、半分間違っています。
厚生労働省の令和6年雇用動向調査によると、転職した人のうち前職より賃金が「増加」した割合は40.5%。1割以上増えた人に絞ると29.4%です。増加の割合は前年から3.3ポイント上昇しており、賃上げ圧力と人手不足を背景に、転職市場は歴史的に見て上がりやすい局面にあります。
ただ、裏返せば6割は上がっていません。「減少」が29.4%、「変わらない」が28.4%。1割以上減った人も21.7%います。転職は自動的に年収を上げる装置ではなく、上がる転職と下がる転職がはっきり分かれる。これがデータの示す実像です。
私はリクルートで事業開発を担当したあと、プライム上場企業の子会社で代表として中途採用のオファー金額を決裁する側にいました。人材紹介事業の運営側として、エージェントの年収交渉が通る瞬間も、あっさり弾かれる瞬間も数え切れないほど見ています。この記事では、その両方の経験から「上がる側の4割に入るための設計図」を戦略レベルで描きます。交渉トークの細かい技術は、年収交渉に特化した関連記事に譲ります。

